Project
Office in a Cherry Fieldさくらんぼ畑のオフィス
Year2023
Location
Higashine, Yamagata山形 東根
Category
officeオフィス
山形県東根市を拠点とする建築施工会社Otias(旧齋藤管工業)の新しいオフィスのプロジェクト。敷地は耕作放棄地となったさくらんぼ畑で、さくらんぼの木々に囲まれて山形らしい働き方の出来るオフィスをつくりたいと考えた。建設の仕事をする社員の方々のすぐ隣で、学校帰りの子どもたちが宿題をしたり、引退した方々がさくらんぼの手入れを手伝ったり、レクチャーが開かれたりするオフィスである。建築はさくらんぼ畑を横切るように細長く枝分かれしており、異なる景色を楽しみながら働くことのできる空間となっている。老若男女様々な人が集まり、働くこと、学ぶこと、生きることが一体となった、地域に開かれた新しいオフィスのかたちをめざした。
設計中、忘れられない1日があった。6月に打ち合わせのために東根を訪れたら、さくらんぼ畑の中に会議テーブルが置かれており、そこで打ち合わせをすることになったのだ。敷地である耕作放棄地のさくらんぼ畑は、元々駐車場として手に入れられた土地であり、残されたさくらんぼの木はすべて切られる予定だった。「さくらんぼの手入れは大変で、しっかりやらないとまわりの畑にも迷惑をかけるから」と反対されていた施主のお父様である会長が、自ら作業着に着替えてさくらんぼの手入れをし、私たちを待っていてくださったのだ。その日はちょうどさくらんぼの季節で、さくらんぼ狩りをする友人家族が来ていたり、会長が孫を芝刈り機に乗せて畑を走りまわったり、その隣ではトラックがヤードに建築の資材を運んでいる様子が見えたり、打ち合わせをしている私たちがいたりと、さくらんぼの木陰にさまざまな人が集まって、思い思いに過ごしているという不思議な1日だった。その日に目の当たりにした風景は、私たちが新社屋で実現したい一つの目標となった。